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(44)《仮定法-9》

何度も述べてきたが、英語では現在時に使う動詞形を未来時用にも使う

may, can, will 等の話法の助動詞(本書では簡単に法の助動詞という)の現在形に完了形の原形を繋いだものを「法の助動詞を使った現在完了」と命名して、 それを「法の助動詞を使った過去完了」等と対比してみる。

現在完了形は現在時に属する動詞形だからこれは未来完了として未来時用にも使いうるはずだが...

(過去向けの観察)

(1) 過去完了形
[must have done]
might have done
could have done
would have done
should have done

(2) 現在完了形
must have done
may have done
can have done
will have done
[shall have done]

(3) 過去形
[must do]
might do
could do
would do
should do

(4) 現在形
must do
may do
can do
will do
shall do

法の助動詞はこれだけではないが、 対比するためにこれだけを使った。

「型文法」 では仮定法で would have done を 平気で 「~しただろうに」 と過去向けに使うことを述べているにも拘わらず、 この would が will と現在形になって will have done となったとたんにこれは未来完了でなければならないとする奇態を演じている。

「will は未来」 という「ドブねずみ頭」に固まってしまうと(2)のところにはこれがどうしても入らない。

先に引用した[続] 英誤診 p.139 にも

◎She will have left by now.
[彼女は今頃はもう出発しているだろう]

という文例が挙げてあるのだが...

「ドブねずみ」 たちはこういうものを見ても自分の頭が受け付けないと無視してしまうのではなかろうか。

「そんな事を言うと生徒が混乱する」と言い抜けてはならない。

自分の頭の中を先ず変えなければならない

上記の表に少し注を付加する。

(1)欄: 間接話法における(2)欄の過去形にも使う。また、仮定法の過去時用にも使う。must 使った仮定法はないからカッコを付けた。

(2)欄: 「~してある、~したに違いない」 等の過去向けの推量など。 shallにもカッコを付けた。 You shall have died. で刺した後 「死んで頂きました」 と冗談口で言うのなら言えるかも知れないが...

(3)欄: 間接話法における(4)欄の過去形にも使う[mustは元々過去形(これは前述した)]。また、仮定法の現在・未来時用にも使う。must に再びカッコ。

(4)欄: 現在・未来に使用。

PEG の助動詞の項には may の見出しの次の行にいきなり 「現在と未来」 と記してある。 can の項も同じだ。

しかし、 テキスト(1)にも「青少年有害図書」にもそのようなことは一言もない。

生徒は「can には未来形がないから未来形は will be able to だ」 と思い込まされるのである。

must も未来には will have to でなければならないとなる。

学校・塾・予備校で十年一日の如くこういうことの繰り返しをやっている。 「学校ゴッコ」である。

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(43)《仮定法-8》

If ~ would という構文 : if節に助動詞の入るもう一つのケース

「型文法」 や 「笛吹き英語」 では will の意味を考えることなく、 一律に 「if節、 時の副詞節では未来のことは現在形になる」 としてしまうので、 if節には will は入らないとしている。

だから仮定法のif節に would の入るケースも完全無記入状態となっており、普通のテキスト・参考書には記述が全く抜けている。

生徒はこういうことを習わないままで出ていってしまう。 しかし、 長文の中には出て来るのである。 当たり前のことだが...

will の基本的3義は

(1) 本人の意志
(2) 予測
(3) 自然の成り行き

である。

このうち、 いわゆる 「if節では現在形になる」 ということで入らないのは(2)の予測の will だけだ。

再度記すが、 「もしこうならばこうする」 という時、 「もしこうならば」 とその条件だけに話を決めて述べているので 「だろう」 の will の入りようのない 「条件決定未来」 だからである。

「意志の will」と、 「自然の成り行きの will」とは if節の中に入る。 「will は未来」という「ドブねずみ頭」がこういうことも見えなくしてしまっているわけだ。

しかし、ジーニアス if の語法 (1) a) b) を見ればこんなことは書いてある。 PEU, PEG, ALEX にはいずれにも 「if節の will と would」 に関する項目がある。

「青少年有害図書」、テキスト(1)には全く見られないので、以下にその文例を引用しておく。(「青少年有害図書」の著者らの最新版にはやっと入ったことは前述のとおり)

(意志の will)

(1) 主語が二人称
相手に「~して下さるお気持ちがあれば」という依頼。will よりwould の方が丁寧というのは 「私の申し上げる筋合いのことではありませんが」 という否定の気持ちを踏まえて仮定法にするからである。

I'd be grateful if you would give me a little help.
(ほんの少し手伝っていたでけるとありがたいのですが)

Wait over there, if you wouldn't mind.
(もしよろしければ、 あちらでお待ちください)

Pass me the box, if you would.
(その箱を私に渡していただけますでしょうか)

[以上 PEU p.282 より]


(2) 主語が三人称
「本人がその気になれば... (その気がない)」 で仮定法。

If Tom would tell me what he wants for dinner, I'd cook it for him.
(トムが夕食に食べたいもの自分から言ってくれれば、 そのとおりの物を作りますのに)
[トムは自分から言おうとしない、 という含みがある]
(PEG p.308)

If he will/would/could only try harder, I'm sure he'd do well.
(ALEX p.397)
 
[上記の would は wish と仮定法にも使われるが、これも我々は学校英語では全く習うことがない] (後述)


(自然の成り行きの will)

If it will make you happier (as a result), I'll stop smoking.
([結果として] あなたが喜ぶのなら、 禁煙することにします)
[PEU p.282]
[後ろの will は「意志の will」]

「英文法がわからない!?」 の p.31 には、前記したように生徒の質問に答えて “「意志」 や 「後の結果」 を表すのなら If...will を使ってもかまいません”と記してある。

講師の質が違う。 読むべきものを読んで、しかも、それを生徒に教えている!!

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(42)《仮定法-7》

If ~ should の使い方 : 現在用法

「型文法」では訳と形をただ暗記させるだけで、何を表すためにどう使うかを教えてはくれない。if ~ should に関しても同じだ。

まず [続]英誤診 p.162 から引用する。

◎If I should run into him, I'll tell him.
[もし、 彼に会うことがあれば、 彼に言います]

現代英語では、 この用法の should は一般的に直説法で使われる。 例えば、 上の文 の I'll tell him を I would tell him にすることはまれである。

次に挙げる例は古風な表現。

?▲If he shouldn't come, we would have to do without him.
(doesn't...will または didn't...would)
[万一彼が来ないとしたら、 われわれは彼なしでやっていかなくてはなら いだろう]
(引用終わり)

にも拘らず、 テキスト(1)、「青少年有害図書」ともに主節に would, should, could, might が入るとの注や説明を加えている。 こういうことで 日本では (井の中の) 「かわず英語」 が連綿と生き続けることになる。 そして生徒はそれとは知らずに学習するのである。

ALEX では、 この構文を p.386~p.387 で (表if) 構文として取り上げている。 そこを引用する。

「if+現在時制」 のかわりに、 「if+should (+動詞の原形)」 を使うと、 条件をより不確かなものにする。

If he calls, tell him I'll ring back.
If he should call, tell him I'll ring back.

主節は必ずしも命令文にならなくてもよい。

If I should see him, I'll ask him to ring you.

聞き手に対して、 丁寧に要求や提案をしたい場合や、 うまく何をすべ きか伝えたい場合、 「if + should...+ 命令文」 の形を用いればよい。

If you should write to her, send her my love.
If you should go to Nairobi, go and see the Snake Park.
(引用終わり)

PEU p.283 には 「この用法は、 命令、 忠告、 提案をするとき、 特によく用いられる」 とある。

PEG p.309 からも引用する。 引用文中の第1型とは直説法のこと。仮定法ではない。

「if + should」 を条件文の第1型に使って、if-節に含まれた事柄が、一応実現の可能性はあるが、 起こりそうもないことを示すことができる。 命令文と組み合わされることが多く、 おもに文字に書いた指示で
使われる。

If you should have any difficulty in getting spare parts
 ring this number.
(万一予備の部品の入手が困難な場合は、 この番号に電話をください)

If these biscuits should arrive in a damaged condition
  please inform the factory at once.
(万一このビスケットが損傷した状態でお手元に届きましたら、 ただちに工場へご一報ください)
(引用終わり)

if ~ should の構文は「実現の可能性のあること」(だがその可能性が少ないと思う気持ちを表すの)に使うのである。

(注)if~shouldの構文は、if~were toの構文と共に、一般の参考書には「仮定法未来時制」としてある。

「ドブねずみ英語」では英語には「未来時制」なるものが存在することになっているから、仮定法にも「未来時制」なるものが存在することになる。

筆者も学校ではこのように習ってそう信じていた。だが、これらは「if+過去形」で現在・未来用の形だ。

テキスト(1)では「仮定法過去の一種であるが、形に特徴があるので、ここにまとめておく」として「if+過去形」であると記してはいるものの以上の説明はない。

「青少年有害図書」にも『「if+S+were+to+do…」とほぼ同じ意を表す」』とあるだけで、両者ともif~shouldの形が現在時にも使われることは記していない。これは一般の参考書と同じだ。

ジーニアスのshouldの項Ⅲの語法 (3) にはIf you should be interested,I’ll give you a book. (もし興味がおありでしたら、本をさしあげます)という現在用法が載っている。if~should が現在・未来用の形だからだ。

if~were to do の方は be to do (不定詞の項参照)の仮定法版だからtoの意味からこれから先のことだけを表すようだ。

直説法では

Our dog is nowhere to be found.

という現在用法もあるのだが...


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(41)《仮定法-6》

仮定法の基本形では、if節の方に動詞の過去形、又は過去完了形を用いるが、話の都合ではif節にも助動詞を使う必要が出てくる

例えばロックのスターを目の前にするとして 「私に英語が話せたら彼と喋れるのに」 といったケースだ。  

If I could speak English now, I could talk to him. (現在)
If I could speak English tomorrow, I could talk to him. (未来)
If I could have spoken English yesterday, I could have
   spoken to him. (過去)

だから 「もしこういうことにでもなれば」 と言うには 「ことになる」 を表す助動詞がif節に必要となる。 これには 「他者の操り」 を表す shall が必要だ。 ここから If ~ should の構文が生まれる。

だが、 まず初めに 「should の意味」をやらなければならない。

英語では常に 「自と他」 の対立を考えているから、 「willは自意志」を表し、 「shall は他意志」を表すのが基本だ。 他意志とは自分以外の所で決められたことで自分がもって行かれてしまうことだ。

例えば年齢だが、 自分の意志で年を取るのではない。 だから I shall be 60 next year. というのが本来の用法だ。

しかし、 この頃はshallに代わって will の方がよく用いられる。 「自然の成り行きの will」 としたのがこれだ。

ところで、 上図の吹き出しの中で “You shall die.” と言っているとしよう。

単純未来・意志未来という不適切な文法用語のお陰でこれを 「オマエは死ぬであろう」 だと思っている浪人が多いが、 そうではない。

「オマエは死ぬであろう」 ならYou will die. だ。

この shall は他意志で、 「オマエは死にたくなくてもオレが殺してやると思っているから、 オマエは死ぬことになる」 ということを表す。 訳すなら 「死んでもらいます」 である。

これ程えげつなく自己主張をしないで、 自分を否定して遠慮する気持ちが働くと should と仮定法になる。 だが言われた方は自意志ではなく、本人は他人の意見などに従うことに変わりはない。

(1) You should obey your parents in this case.
(常識・社会通念に従って)
([嫌かも知れないが]今回は両親に従うものよ)
[これを“べき”と訳している。少し訳し過ぎだ。]

(2) If he took the 8:00 train, he should be here by now.
(自然条件に従って)
(8時の汽車に乗ったのなら、もう着いているはずなのに)
[“はず”の should]
[He shall be here. とすると 「彼にはここに居てもらいます」 となる。 上記は発言者が、自分からの意見ではなく、「自然条件に従って考えると、こういうことになるんだが」という表現]

(3) If I should have the same terrible experience too, I may
   kill myself.
(もし私も同じ恐ろしい目にあうことになるなら、 自殺するかも知れない) (運命・天意などに従って)
[とても考えられないがと否定の気持ちを踏まえて“ことになる”の should 。 これを “万一” と意訳している]

人の口車に乗せられて動いてしまうのもこの should だ。

弁護士まで雇って旦那を放逐したエゲツナイ元の妻が、遠く離れた所に暮らす元の旦那に自分からのこのこと会いに来るわけはない。

しかし、周りの人から「よりを戻そうよと会いに行ってごらんよ。どんな顔するか面白いじゃない」と言われて来てしまうようなことを想定すると、元の旦那の方では

“If she should come to see me, I’ll kick her out.”

となるのである。

更に(何かの間違いで) 「~が~しようとは、~となろうとは」 という感情の should につながっていく。

cf. I am surprised that she should have done such a thing.
彼女がそんなことをしでかして驚いています。 (ジーニアス)


should は

(1)べき   (2)はず   (3)ことになる

の3義で大抵の場合の説明がつく。


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(40)《仮定法-5》

仮定法過去形 + 仮定法過去完了形 : 混合文章時
(前半常時 + 後半過去)

「いつでもああなら、 あの時もああだっただろうに」ということを言うもの。

If he were/was an honest man, he would have been trusted
there.
(彼が正直な人なら、 あそこで信用してもらえていただろうに)

(注) 混合文章時の文例は、 普通前半過去・後半現在のものしか載っていない。


仮定法過去形 + 仮定法過去形 : 混合文章時 (前半現在 + 後半未来)

コンサートに出掛けようとしたときに客が来てしまった。 そして嘆く。

If I left home now, I could be in time for the concert.
(今出たら、 コンサートに間に合えるのに)

(注) 形の上では両辺とも同じ(現未同形)だが、 仮定法の未来表現に注意しておくとよい。


直説法の文と仮定法の文との対比 : 現在・未来には共に同じ文型(現未同形)。 過去には過去用文型。



《表 if》 (直説法)           
現在 : 「青と黄色を混ぜると緑になる」 (常時的真理)      
If you put blue into yellow, you get/will get green.                    
両辺共に現在形。 will は自然の成り行きを表す現在形。

《裏 if》 (仮定法)
現在:(今日は木曜日で学校がある)
「今日が休みならショッピングにいけるのに」
If today were/was a holiday, I could go shopping.
両辺共に過去形。



《表 if》(直説法)
未来 : 「あした晴れなら釣りに行く」    
If it is fine tomorrow, I will go fishing.
両辺共に現在形。 will は現在持っている意志なので現在形。
         
《裏 if》(仮定法)
 未来 : (明日は金曜で学校がある)
 「明日が休みならショッピングに行けるのに」  
 If tomorrow were/was a holiday,I could go shopping.
両辺共に過去形。



《表 if》(直説法)
 過去 : 「きのう君が怒ったとしても、 僕にはそのつもりはなっかった」     
                
If you got angry yesterday, I didn't mean that.     
両辺共に過去形。

《裏 if》(仮定法)
過去 : (昨日は水曜で学校があった)
「昨日が休みだったらショッピングに行けたのに」
If yesterday had been a holiday,I could have gone shopping.
両辺共に過去完了形。



上記に見るように英語では直説法・仮定法共に現在・未来用文型 (現未同形) と過去用文型の二つの文型しかない。

直説法も仮定法も文法は同じである

「will は未来」 がこういうことへの理解を粉砕してしまっている。


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プロフィール

snack7

Author:snack7
関西の大手私立大学独文卒。JALスチュワードからパーサーとなるも7年で退職。元の独文の修士課程に戻り終了後短大のドイツ語非常勤講師などを経て、予備校英語講師となる。現在は在宅年金生活。1938年1月1日生まれ。

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