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(36)《エッ、未来表現がない!? 仮定法-1》

仮定法」という名前が良くない。if は仮定を表すから if が付いた文章は全て仮定法になると思い込んでいる生徒が少なからず居る。

其れゆえ、 まず初めに仮定法はいつ使うかをはっきりさせておく必要がある。

この世には「肯定の気持ちを踏まえて述べる文」(叙肯文)と「否定の気持ちを踏まえて述べる文」(叙否文)との2種類がある。

前者は「ボールは丸い」「空は青い」とか、 また文型は否定形であっても「黒板の色は白くない」といった誰でもが肯定する文をいう。これは物事をそのままに述べる文であって、事実との間にズレがない

この事実との一致を表すために英語では動詞を、現在のことにはそれに一致させて現在形を、過去のことには過去形を使う。この手の文章を普通「直説法」の文と言っている。これは中学から習う普通の文。

後者は、女の子が「私が男の子なら(しかしそうじゃない)」とか、90才の老人が「自分がもう30才若ければ(しかしかなわぬことだ)」とかいった架空のことを述べる文であって、事実との間にズレがある

この事実とのズレを表すために英語では動詞の時間帯を一段下にずらせて、現在のことには過去形を、過去のことには過去完了形を使う。

この手の文章を普通「仮定法」の文と言っている。これは高校で初めて習う文だ。

まとめると 「叙肯文には直説法を、叙否文には仮定法を使う」 。

未来のことはまだ起こっていないから、事実と一致しているかいないかはチェックのしようがない

それで「あした晴れれば」といった「起こり得る」と思うことを想定して述べる時には直説法を、「あすは月曜で学校だが休みなら」といった「起こり得ない」と思うことを想定して述べるには仮定法を使う。

なお、この「ズレと一致」というアイディアは日本英語協会の「大学入試・英語重点シリーズ」第8巻にある若林俊輔教授のアイディアを借用したものである。また同書にも英語には未来形がないことが綴ってある。

ところで、if は直説法にも仮定法にも使う。 if を使った文に2種類あるわけで、筆者は直説法で使っている if を 「表 if」 、 仮定法で使っている if を 「裏 if」 と呼び分けている。

ヨーロッパの言葉は事が少しでも異なると語形を変えるのが原則である。 それで英語にも古くは直説法用の動詞形と、 仮定法用の動詞形とがあった。

ドイツ語では今でもそれを保存している。 he has に当たるもので英語と比較してみる。

[直説法] [仮定法]
(現在) (過去) (現在) (過去)
(英語) he has, he had, he had, he had had
(独語) er hat, er hatte, er habe, er hätte

英語では仮定法用の動詞形を捨ててしまってhabe(ハーベ), hätte (ヘッテ)に当たる形はない。

それで仮定法の現在用には直説法の過去形(ここではhad)を、過去用には直説法の過去完了形(ここではhad had)を転用している。

現在、 原形を使ったいわゆる 「仮定法現在」 (“仮定法原形”と呼ぶべきだ)は使われるケースが非常に少なく、 また本来の仮定法用の形が残っているのは I were, he were, she were, it were に見られる were (ドイツ語のwäre = ヴェーレ) だけであって、 しかもこの were も次第に was で言い換えられるようになり、 英語での仮定法用の動詞形はほぼ消滅し直説法と同形となり形が非常に簡単となった。

ここで一つ断っておくことがある。ある短大で行った「英語の一番分かりにくい項目は何か」との調査で「仮定法」が筆頭にあがったという。これは「型文法」の教え方のまずさにも原因があろうが、生徒自身の内部に原因のあるケースもある。

日本語のレベルで「現実のことか」「架空のことか」の区別が付かないのである。これは事柄が抽象のレベルのことだからである。

先に記したように時間感覚に障害がある者に、いわゆる「時制」を理解せよと強要しても無理であるように、「現実」と「架空」との区別が付かない者に仮定法の習得を強制することは愚劣行為である。

しかし、殆どの塾・予備校では生徒に「やったら出来る」と頑張ることを美徳とさせ、これを己の収益増加の具としている。

「君はこの方面には向いていません。別の方面に進みなさい」と本人の向きを明確にしてやるのが教育であるが、こいうことを示唆したら「うちの子供をバカにした」と強硬な抗議の電話を入れてきたバカ親が居た。

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テーマ : 大学受験
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snack7

Author:snack7
関西の大手私立大学独文卒。JALスチュワードからパーサーとなるも7年で退職。元の独文の修士課程に戻り終了後短大のドイツ語非常勤講師などを経て、予備校英語講師となる。現在は在宅年金生活。1938年1月1日生まれ。

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