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(44)《仮定法-9》

何度も述べてきたが、英語では現在時に使う動詞形を未来時用にも使う

may, can, will 等の話法の助動詞(本書では簡単に法の助動詞という)の現在形に完了形の原形を繋いだものを「法の助動詞を使った現在完了」と命名して、 それを「法の助動詞を使った過去完了」等と対比してみる。

現在完了形は現在時に属する動詞形だからこれは未来完了として未来時用にも使いうるはずだが...

(過去向けの観察)

(1) 過去完了形
[must have done]
might have done
could have done
would have done
should have done

(2) 現在完了形
must have done
may have done
can have done
will have done
[shall have done]

(3) 過去形
[must do]
might do
could do
would do
should do

(4) 現在形
must do
may do
can do
will do
shall do

法の助動詞はこれだけではないが、 対比するためにこれだけを使った。

「型文法」 では仮定法で would have done を 平気で 「~しただろうに」 と過去向けに使うことを述べているにも拘わらず、 この would が will と現在形になって will have done となったとたんにこれは未来完了でなければならないとする奇態を演じている。

「will は未来」 という「ドブねずみ頭」に固まってしまうと(2)のところにはこれがどうしても入らない。

先に引用した[続] 英誤診 p.139 にも

◎She will have left by now.
[彼女は今頃はもう出発しているだろう]

という文例が挙げてあるのだが...

「ドブねずみ」 たちはこういうものを見ても自分の頭が受け付けないと無視してしまうのではなかろうか。

「そんな事を言うと生徒が混乱する」と言い抜けてはならない。

自分の頭の中を先ず変えなければならない

上記の表に少し注を付加する。

(1)欄: 間接話法における(2)欄の過去形にも使う。また、仮定法の過去時用にも使う。must 使った仮定法はないからカッコを付けた。

(2)欄: 「~してある、~したに違いない」 等の過去向けの推量など。 shallにもカッコを付けた。 You shall have died. で刺した後 「死んで頂きました」 と冗談口で言うのなら言えるかも知れないが...

(3)欄: 間接話法における(4)欄の過去形にも使う[mustは元々過去形(これは前述した)]。また、仮定法の現在・未来時用にも使う。must に再びカッコ。

(4)欄: 現在・未来に使用。

PEG の助動詞の項には may の見出しの次の行にいきなり 「現在と未来」 と記してある。 can の項も同じだ。

しかし、 テキスト(1)にも「青少年有害図書」にもそのようなことは一言もない。

生徒は「can には未来形がないから未来形は will be able to だ」 と思い込まされるのである。

must も未来には will have to でなければならないとなる。

学校・塾・予備校で十年一日の如くこういうことの繰り返しをやっている。 「学校ゴッコ」である。

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(43)《仮定法-8》

If ~ would という構文 : if節に助動詞の入るもう一つのケース

「型文法」 や 「笛吹き英語」 では will の意味を考えることなく、 一律に 「if節、 時の副詞節では未来のことは現在形になる」 としてしまうので、 if節には will は入らないとしている。

だから仮定法のif節に would の入るケースも完全無記入状態となっており、普通のテキスト・参考書には記述が全く抜けている。

生徒はこういうことを習わないままで出ていってしまう。 しかし、 長文の中には出て来るのである。 当たり前のことだが...

will の基本的3義は

(1) 本人の意志
(2) 予測
(3) 自然の成り行き

である。

このうち、 いわゆる 「if節では現在形になる」 ということで入らないのは(2)の予測の will だけだ。

再度記すが、 「もしこうならばこうする」 という時、 「もしこうならば」 とその条件だけに話を決めて述べているので 「だろう」 の will の入りようのない 「条件決定未来」 だからである。

「意志の will」と、 「自然の成り行きの will」とは if節の中に入る。 「will は未来」という「ドブねずみ頭」がこういうことも見えなくしてしまっているわけだ。

しかし、ジーニアス if の語法 (1) a) b) を見ればこんなことは書いてある。 PEU, PEG, ALEX にはいずれにも 「if節の will と would」 に関する項目がある。

「青少年有害図書」、テキスト(1)には全く見られないので、以下にその文例を引用しておく。(「青少年有害図書」の著者らの最新版にはやっと入ったことは前述のとおり)

(意志の will)

(1) 主語が二人称
相手に「~して下さるお気持ちがあれば」という依頼。will よりwould の方が丁寧というのは 「私の申し上げる筋合いのことではありませんが」 という否定の気持ちを踏まえて仮定法にするからである。

I'd be grateful if you would give me a little help.
(ほんの少し手伝っていたでけるとありがたいのですが)

Wait over there, if you wouldn't mind.
(もしよろしければ、 あちらでお待ちください)

Pass me the box, if you would.
(その箱を私に渡していただけますでしょうか)

[以上 PEU p.282 より]


(2) 主語が三人称
「本人がその気になれば... (その気がない)」 で仮定法。

If Tom would tell me what he wants for dinner, I'd cook it for him.
(トムが夕食に食べたいもの自分から言ってくれれば、 そのとおりの物を作りますのに)
[トムは自分から言おうとしない、 という含みがある]
(PEG p.308)

If he will/would/could only try harder, I'm sure he'd do well.
(ALEX p.397)
 
[上記の would は wish と仮定法にも使われるが、これも我々は学校英語では全く習うことがない] (後述)


(自然の成り行きの will)

If it will make you happier (as a result), I'll stop smoking.
([結果として] あなたが喜ぶのなら、 禁煙することにします)
[PEU p.282]
[後ろの will は「意志の will」]

「英文法がわからない!?」 の p.31 には、前記したように生徒の質問に答えて “「意志」 や 「後の結果」 を表すのなら If...will を使ってもかまいません”と記してある。

講師の質が違う。 読むべきものを読んで、しかも、それを生徒に教えている!!

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(42)《仮定法-7》

If ~ should の使い方 : 現在用法

「型文法」では訳と形をただ暗記させるだけで、何を表すためにどう使うかを教えてはくれない。if ~ should に関しても同じだ。

まず [続]英誤診 p.162 から引用する。

◎If I should run into him, I'll tell him.
[もし、 彼に会うことがあれば、 彼に言います]

現代英語では、 この用法の should は一般的に直説法で使われる。 例えば、 上の文 の I'll tell him を I would tell him にすることはまれである。

次に挙げる例は古風な表現。

?▲If he shouldn't come, we would have to do without him.
(doesn't...will または didn't...would)
[万一彼が来ないとしたら、 われわれは彼なしでやっていかなくてはなら いだろう]
(引用終わり)

にも拘らず、 テキスト(1)、「青少年有害図書」ともに主節に would, should, could, might が入るとの注や説明を加えている。 こういうことで 日本では (井の中の) 「かわず英語」 が連綿と生き続けることになる。 そして生徒はそれとは知らずに学習するのである。

ALEX では、 この構文を p.386~p.387 で (表if) 構文として取り上げている。 そこを引用する。

「if+現在時制」 のかわりに、 「if+should (+動詞の原形)」 を使うと、 条件をより不確かなものにする。

If he calls, tell him I'll ring back.
If he should call, tell him I'll ring back.

主節は必ずしも命令文にならなくてもよい。

If I should see him, I'll ask him to ring you.

聞き手に対して、 丁寧に要求や提案をしたい場合や、 うまく何をすべ きか伝えたい場合、 「if + should...+ 命令文」 の形を用いればよい。

If you should write to her, send her my love.
If you should go to Nairobi, go and see the Snake Park.
(引用終わり)

PEU p.283 には 「この用法は、 命令、 忠告、 提案をするとき、 特によく用いられる」 とある。

PEG p.309 からも引用する。 引用文中の第1型とは直説法のこと。仮定法ではない。

「if + should」 を条件文の第1型に使って、if-節に含まれた事柄が、一応実現の可能性はあるが、 起こりそうもないことを示すことができる。 命令文と組み合わされることが多く、 おもに文字に書いた指示で
使われる。

If you should have any difficulty in getting spare parts
 ring this number.
(万一予備の部品の入手が困難な場合は、 この番号に電話をください)

If these biscuits should arrive in a damaged condition
  please inform the factory at once.
(万一このビスケットが損傷した状態でお手元に届きましたら、 ただちに工場へご一報ください)
(引用終わり)

if ~ should の構文は「実現の可能性のあること」(だがその可能性が少ないと思う気持ちを表すの)に使うのである。

(注)if~shouldの構文は、if~were toの構文と共に、一般の参考書には「仮定法未来時制」としてある。

「ドブねずみ英語」では英語には「未来時制」なるものが存在することになっているから、仮定法にも「未来時制」なるものが存在することになる。

筆者も学校ではこのように習ってそう信じていた。だが、これらは「if+過去形」で現在・未来用の形だ。

テキスト(1)では「仮定法過去の一種であるが、形に特徴があるので、ここにまとめておく」として「if+過去形」であると記してはいるものの以上の説明はない。

「青少年有害図書」にも『「if+S+were+to+do…」とほぼ同じ意を表す」』とあるだけで、両者ともif~shouldの形が現在時にも使われることは記していない。これは一般の参考書と同じだ。

ジーニアスのshouldの項Ⅲの語法 (3) にはIf you should be interested,I’ll give you a book. (もし興味がおありでしたら、本をさしあげます)という現在用法が載っている。if~should が現在・未来用の形だからだ。

if~were to do の方は be to do (不定詞の項参照)の仮定法版だからtoの意味からこれから先のことだけを表すようだ。

直説法では

Our dog is nowhere to be found.

という現在用法もあるのだが...


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(41)《仮定法-6》

仮定法の基本形では、if節の方に動詞の過去形、又は過去完了形を用いるが、話の都合ではif節にも助動詞を使う必要が出てくる

例えばロックのスターを目の前にするとして 「私に英語が話せたら彼と喋れるのに」 といったケースだ。  

If I could speak English now, I could talk to him. (現在)
If I could speak English tomorrow, I could talk to him. (未来)
If I could have spoken English yesterday, I could have
   spoken to him. (過去)

だから 「もしこういうことにでもなれば」 と言うには 「ことになる」 を表す助動詞がif節に必要となる。 これには 「他者の操り」 を表す shall が必要だ。 ここから If ~ should の構文が生まれる。

だが、 まず初めに 「should の意味」をやらなければならない。

英語では常に 「自と他」 の対立を考えているから、 「willは自意志」を表し、 「shall は他意志」を表すのが基本だ。 他意志とは自分以外の所で決められたことで自分がもって行かれてしまうことだ。

例えば年齢だが、 自分の意志で年を取るのではない。 だから I shall be 60 next year. というのが本来の用法だ。

しかし、 この頃はshallに代わって will の方がよく用いられる。 「自然の成り行きの will」 としたのがこれだ。

ところで、 上図の吹き出しの中で “You shall die.” と言っているとしよう。

単純未来・意志未来という不適切な文法用語のお陰でこれを 「オマエは死ぬであろう」 だと思っている浪人が多いが、 そうではない。

「オマエは死ぬであろう」 ならYou will die. だ。

この shall は他意志で、 「オマエは死にたくなくてもオレが殺してやると思っているから、 オマエは死ぬことになる」 ということを表す。 訳すなら 「死んでもらいます」 である。

これ程えげつなく自己主張をしないで、 自分を否定して遠慮する気持ちが働くと should と仮定法になる。 だが言われた方は自意志ではなく、本人は他人の意見などに従うことに変わりはない。

(1) You should obey your parents in this case.
(常識・社会通念に従って)
([嫌かも知れないが]今回は両親に従うものよ)
[これを“べき”と訳している。少し訳し過ぎだ。]

(2) If he took the 8:00 train, he should be here by now.
(自然条件に従って)
(8時の汽車に乗ったのなら、もう着いているはずなのに)
[“はず”の should]
[He shall be here. とすると 「彼にはここに居てもらいます」 となる。 上記は発言者が、自分からの意見ではなく、「自然条件に従って考えると、こういうことになるんだが」という表現]

(3) If I should have the same terrible experience too, I may
   kill myself.
(もし私も同じ恐ろしい目にあうことになるなら、 自殺するかも知れない) (運命・天意などに従って)
[とても考えられないがと否定の気持ちを踏まえて“ことになる”の should 。 これを “万一” と意訳している]

人の口車に乗せられて動いてしまうのもこの should だ。

弁護士まで雇って旦那を放逐したエゲツナイ元の妻が、遠く離れた所に暮らす元の旦那に自分からのこのこと会いに来るわけはない。

しかし、周りの人から「よりを戻そうよと会いに行ってごらんよ。どんな顔するか面白いじゃない」と言われて来てしまうようなことを想定すると、元の旦那の方では

“If she should come to see me, I’ll kick her out.”

となるのである。

更に(何かの間違いで) 「~が~しようとは、~となろうとは」 という感情の should につながっていく。

cf. I am surprised that she should have done such a thing.
彼女がそんなことをしでかして驚いています。 (ジーニアス)


should は

(1)べき   (2)はず   (3)ことになる

の3義で大抵の場合の説明がつく。


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(40)《仮定法-5》

仮定法過去形 + 仮定法過去完了形 : 混合文章時
(前半常時 + 後半過去)

「いつでもああなら、 あの時もああだっただろうに」ということを言うもの。

If he were/was an honest man, he would have been trusted
there.
(彼が正直な人なら、 あそこで信用してもらえていただろうに)

(注) 混合文章時の文例は、 普通前半過去・後半現在のものしか載っていない。


仮定法過去形 + 仮定法過去形 : 混合文章時 (前半現在 + 後半未来)

コンサートに出掛けようとしたときに客が来てしまった。 そして嘆く。

If I left home now, I could be in time for the concert.
(今出たら、 コンサートに間に合えるのに)

(注) 形の上では両辺とも同じ(現未同形)だが、 仮定法の未来表現に注意しておくとよい。


直説法の文と仮定法の文との対比 : 現在・未来には共に同じ文型(現未同形)。 過去には過去用文型。



《表 if》 (直説法)           
現在 : 「青と黄色を混ぜると緑になる」 (常時的真理)      
If you put blue into yellow, you get/will get green.                    
両辺共に現在形。 will は自然の成り行きを表す現在形。

《裏 if》 (仮定法)
現在:(今日は木曜日で学校がある)
「今日が休みならショッピングにいけるのに」
If today were/was a holiday, I could go shopping.
両辺共に過去形。



《表 if》(直説法)
未来 : 「あした晴れなら釣りに行く」    
If it is fine tomorrow, I will go fishing.
両辺共に現在形。 will は現在持っている意志なので現在形。
         
《裏 if》(仮定法)
 未来 : (明日は金曜で学校がある)
 「明日が休みならショッピングに行けるのに」  
 If tomorrow were/was a holiday,I could go shopping.
両辺共に過去形。



《表 if》(直説法)
 過去 : 「きのう君が怒ったとしても、 僕にはそのつもりはなっかった」     
                
If you got angry yesterday, I didn't mean that.     
両辺共に過去形。

《裏 if》(仮定法)
過去 : (昨日は水曜で学校があった)
「昨日が休みだったらショッピングに行けたのに」
If yesterday had been a holiday,I could have gone shopping.
両辺共に過去完了形。



上記に見るように英語では直説法・仮定法共に現在・未来用文型 (現未同形) と過去用文型の二つの文型しかない。

直説法も仮定法も文法は同じである

「will は未来」 がこういうことへの理解を粉砕してしまっている。


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(39)《仮定法-4》

仮定法過去完了形:仮定法過去時用の基本形

If + 主語 + 動詞の過去完了形 , 主語 + 助動詞を使った過去完了形 

(条件部 = 従属節) (帰結部 = 主節)

この文型は過去時のみに使う。 主節の助動詞にはやはり would, should, could, might が使われるが、 would have done といった形が複雑に見えて覚え切れない生徒が少なからず居る。

だから従属節でも主節でも共に過去完了を使うのだということにするため、 に筆者は 「助動詞を使った過去完了形」 という文法用語を作った。

前述したようにドイツ語では助動詞が今でも過去分詞を保有している。 だから、 英語とは語順は異なるが、 英語流に各語を配置すると、 had + 助動詞の過去分詞 + 原形という組み合わせで助動詞を含んだ過去完了が作られる。

will の過去分詞を gewould とでもすると、 had gewould do だ。 だが、 英語では助動詞の過去分詞を捨ててしまったからこれができない。

それでどうしているかというと、 would didとはできないから would + have done という形をこれに当てている。 have done の所は完了形の原形で would に繋がっているが、 意味は 「~してある」 で実質的過去、 即ち 「~した」 だから、 would に繋いで 「~しただろうに」 と取る。

なぜ would が 「だろうに」 というこのになるのかは、 仮定法に使っているから裏に 「しかしだめだ」 という否定の気持ちが働いているからである。

would  + have done
(助動詞の過去形)   (完了形原形) [~しただろうに]

この形がゴチャゴチャに見えて(これは色弱検査の表を見るのと同じだ)なかなか覚えられない生徒のために、 上記下線部全体(would have done)を 「助動詞を使った過去完了形」 と命名するのである。

覚えるための便宜なのであるが、 これはドイツ語の助動詞を使った過去完了に当たるものであるから全く根拠のないものではない。 これで、 仮定法の過去時用の文型は両辺共に過去完了を使うと覚えればよい。

文例を一つだけ PEG p.306 から引用する。

If we had found him earlier we might have saved his life.
(もっと早く彼を見つけていたら、 命を救えたかもしれない)


仮定法過去完了形 + 仮定法過去形混合文章時(前半過去 + 後半現在)

話の都合でこういうことはいくらでも起こる。

The plane I intended to catch crashed and everyone was
  killed.
If I had caught that plane I would be dead now.
(私が乗るつもりだった飛行機が墜落し、 全員が死亡しました。もしあの飛行機に乗っていたら、 今ごろ私も死んでいるでしょう)
(PEG p.307)

日本の参考書では、この混合時の文例には「前半過去・後半現在」の文例しか載せていないとワトキンス氏がどこかで述べていた。彼の出した文例は確か下記のようなものだったと記憶する。

次項の頭の部分と重複するが、特に断っておく。

If he were a punctual man, he wouldn’t have been late then.
(彼が時間を守る人なら、あの時も遅れなかっただろうに)

前半は「常時」のことを表し、後半は「過去」のことを述べている。

前半が過去のことなら、後半も過去でなければならないと決め付ける方向にアタマが動いてしまう人は要注意。

規則が先にあって、それに当てはめてものを言うのではない。

言葉は、言う人の心理に従って選ばれる



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(38)《仮定法-3》

仮定法過去形:仮定法現在時・未来時用の基本形

If + 主語 + 動詞の過去形 , 主語 + 助動詞の過去形 + 原形
(条件部 = 従属節)     (帰結部 = 主節)


英語では主節の方には必ず助動詞の過去形を入れて使う。 先に述べたように英語にも仮定法専用の動詞形があった時代には、 従属節・主節ともにその動詞の過去形を使うだけでよかった。

しかし、 その動詞形を捨てて直説法の動詞と同じ形の動詞を使うようになったので、 結論部 (主節) では 「~だろうに」 とか 「~できように」 とか 「~かも知れなかろうに」 という「気分」は助動詞によって付け加えることになった。

それで主節には would (人称によっては should), could, might を使う。

これをどうしても覚えない生徒が30%位は残るから注意。これは各助動詞の意味をよく理解して覚えていないからである。

先に見たようにテキスト(1)には仮定法過去形は未来時用にも使うことは一言も記してなく、その後ろの練習問題にも未来時用の練習問題は一題も入っていない。また、 「青少年有害図書」にもその方面の問題は入っていない。

それで、PEG よりこの文型が未来時にも使われている例文を引用してお目にかけておく。

If I had a map I would lend it to you.
(But I don't have/haven't a map.)
(地図を持っていれば、 君に貸してあげるのだが[しかし実際は持っていません])
[この場合、 意味は現在である]

If someone tried to blackmail me I would tell the police.
(But Idon't expect that anyone will try to blackmail me.)
(だれかが私をゆすったら、 警察に知らせるでしょう)
[しかしだれも私をゆするような人はいないと思います]
[この場合、 意味は未来である] (以上 p.302 より)

ここにはちゃんと 「意味は現在」 「意味は未来」 ということまで書いてある。

「ドブねずみ講師」 達は、 日本の定評ある参考書だけを頼りにするか、こういうものは読んでも(読みさえしていないかも知れないが)、 生徒同様、自分が学校で習ったことに合わないことは無視するのであろう。 そして、相も変わらず「長屋英語」を垂れ続けるのだ。

次も同じく p.302 よりの引用。

If a burglar came into my room at night I'd scream.
(But I don't expect a burglar to come in.)
(もし夜中に私の部屋にどろぼうが入ってきたら、 私は叫び声をあげるでしょう)
[しかし、 どろぼうが入ってくることはまずないと思います]

If you tried again you would succeed.
(もう一度やれば、 成功するだろう) [確実性のある結果]

If you tried again you might succeed. (もう一度やれば、 成功するかもしれない)
[可能性のある結果] (p. 304)

(We're going by air and) I hate flying.
If we were going by boat. I'd feel much happier.
([ぼくたちは飛行機で行く予定だが]ぼくは飛行機は嫌いなんだ。
船で行くならもっとずっと楽しいだろうに) (p.305)

自らの頭も「willは未来、未来だからwillになる」と固まっており、willの付いた動詞を「未来時制」としている「ドブねずみ講師」たちには、多分こういう文章が未来時を表しているとは、とても思えないのだ。

その理由は、これら仮定法のif節の文中にwillが全く入っていないからだ。

彼らのいう「if節、時を表す副詞節の中では未来のことは現在時制になる」という愚論は仮定法の文中でも、発話者の心理に従って行われるが、will が必要な場合にはIf … wouldという形が使われるのはIf … willで見たのと全く同じ文法に則って行われる。

こんなことはテキスト(1)にも「青少年有害図書」にも全く記されてはいない。

更に、一般の参考書にも記述はないのが普通だ。

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(37)《エッ、未来表現がない!? 仮定法-2》


テキスト(1)の第6講を見る。仮定法の文型が載っている。

仮定法過去(現在の仮定を表している)


If S did/were ..., S would do....

もし…するならば/ならば、~なのに/するのに


仮定法過去完了(過去の仮定を表している)


If S had done/been …, S would have been/done ~.

もし…だったら/していたら、~だったろう/しただろう
   
If S should do/If S were to do
仮定法過去の一種であるが、 形に特徴があるので、 ここにまとめておく。

S will do
(1) If S should do ..., S would do ....
命令文

(2) If S were to do …, S would do ....

もし万一 … なら~だろう

もし万一 … なら~しなさい

もし万一 … なら~だろう

(注)(1)の主節には、would (should, could, might) の他に will (shall, may, can)、 命令文もくる。

とある。

我々が仮定法を習った頃には最後の If ~ should, If ~ were to は[「定法未来時制」と習ったものだ。 そして、 上記3つの形で、現在・過去・未来のための形がそろったように書いてあった。

だが、「仮定法過去形」(過去形の動詞を現在時用に使うから筆者はこの形をこう呼ぶ)で現在・未来の事柄、及び「仮定法過去完了形」で過去の事柄を言い表す。

それは英語では現在のことと未来のことは、日本語と同様に同じ形で言い表すからだ(これを筆者は「現未同形」という)。

仮定法も例外ではない、直説法と同じ文法で動く。ifと過去形を使った仮定法過去形のIf ~ should, If ~ were to は普通とは一寸違った気分 (心理) を表すのに使う。

上記仮定法過去のカッコ内の説明には「現在」とだけあって、これを未来用にも使うことが抜けている(「エッ、未来表現がない仮定法」とはこのこと)のは、生徒にとって極めて大きいロスである。

生徒はこれを習わないで出て行ってしまう。「will は未来」 で頭が固まってしまうと講師側にもこういうことが見えないのだ。

今日は木曜日としよう。 昨日も今日も明日も学校だ、 休めない。

If today [were/was] a holiday, I would go shopping. (現在)
If tomorrow [were/was] a holiday, I would go shopping. (未来)

If yesterday had been a holiday, I would have gone shopping. (過去)

かぎカッコを付けた部分の「現未同形」をしっかりと習得されよ。

言ってみれば仮定法なんてたったこれだけのことだ。 一般のテキスト・参考書の説明が悪い。

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(36)《エッ、未来表現がない!? 仮定法-1》

仮定法」という名前が良くない。if は仮定を表すから if が付いた文章は全て仮定法になると思い込んでいる生徒が少なからず居る。

其れゆえ、 まず初めに仮定法はいつ使うかをはっきりさせておく必要がある。

この世には「肯定の気持ちを踏まえて述べる文」(叙肯文)と「否定の気持ちを踏まえて述べる文」(叙否文)との2種類がある。

前者は「ボールは丸い」「空は青い」とか、 また文型は否定形であっても「黒板の色は白くない」といった誰でもが肯定する文をいう。これは物事をそのままに述べる文であって、事実との間にズレがない

この事実との一致を表すために英語では動詞を、現在のことにはそれに一致させて現在形を、過去のことには過去形を使う。この手の文章を普通「直説法」の文と言っている。これは中学から習う普通の文。

後者は、女の子が「私が男の子なら(しかしそうじゃない)」とか、90才の老人が「自分がもう30才若ければ(しかしかなわぬことだ)」とかいった架空のことを述べる文であって、事実との間にズレがある

この事実とのズレを表すために英語では動詞の時間帯を一段下にずらせて、現在のことには過去形を、過去のことには過去完了形を使う。

この手の文章を普通「仮定法」の文と言っている。これは高校で初めて習う文だ。

まとめると 「叙肯文には直説法を、叙否文には仮定法を使う」 。

未来のことはまだ起こっていないから、事実と一致しているかいないかはチェックのしようがない

それで「あした晴れれば」といった「起こり得る」と思うことを想定して述べる時には直説法を、「あすは月曜で学校だが休みなら」といった「起こり得ない」と思うことを想定して述べるには仮定法を使う。

なお、この「ズレと一致」というアイディアは日本英語協会の「大学入試・英語重点シリーズ」第8巻にある若林俊輔教授のアイディアを借用したものである。また同書にも英語には未来形がないことが綴ってある。

ところで、if は直説法にも仮定法にも使う。 if を使った文に2種類あるわけで、筆者は直説法で使っている if を 「表 if」 、 仮定法で使っている if を 「裏 if」 と呼び分けている。

ヨーロッパの言葉は事が少しでも異なると語形を変えるのが原則である。 それで英語にも古くは直説法用の動詞形と、 仮定法用の動詞形とがあった。

ドイツ語では今でもそれを保存している。 he has に当たるもので英語と比較してみる。

[直説法] [仮定法]
(現在) (過去) (現在) (過去)
(英語) he has, he had, he had, he had had
(独語) er hat, er hatte, er habe, er hätte

英語では仮定法用の動詞形を捨ててしまってhabe(ハーベ), hätte (ヘッテ)に当たる形はない。

それで仮定法の現在用には直説法の過去形(ここではhad)を、過去用には直説法の過去完了形(ここではhad had)を転用している。

現在、 原形を使ったいわゆる 「仮定法現在」 (“仮定法原形”と呼ぶべきだ)は使われるケースが非常に少なく、 また本来の仮定法用の形が残っているのは I were, he were, she were, it were に見られる were (ドイツ語のwäre = ヴェーレ) だけであって、 しかもこの were も次第に was で言い換えられるようになり、 英語での仮定法用の動詞形はほぼ消滅し直説法と同形となり形が非常に簡単となった。

ここで一つ断っておくことがある。ある短大で行った「英語の一番分かりにくい項目は何か」との調査で「仮定法」が筆頭にあがったという。これは「型文法」の教え方のまずさにも原因があろうが、生徒自身の内部に原因のあるケースもある。

日本語のレベルで「現実のことか」「架空のことか」の区別が付かないのである。これは事柄が抽象のレベルのことだからである。

先に記したように時間感覚に障害がある者に、いわゆる「時制」を理解せよと強要しても無理であるように、「現実」と「架空」との区別が付かない者に仮定法の習得を強制することは愚劣行為である。

しかし、殆どの塾・予備校では生徒に「やったら出来る」と頑張ることを美徳とさせ、これを己の収益増加の具としている。

「君はこの方面には向いていません。別の方面に進みなさい」と本人の向きを明確にしてやるのが教育であるが、こいうことを示唆したら「うちの子供をバカにした」と強硬な抗議の電話を入れてきたバカ親が居た。

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ジャンル : 学校・教育

(35)《これじゃげんなり・時制の一致-3》

前講の(1)を踏まえて「現在もそうである」ことを伝えるには

◎Maria told me that her mother is fluent in French.
[マリアから聞いたのだが、 彼女の母親はフランス語に堪能だそうだ]

◎He said he doesn't like travelling, so he may refuse to go.
[彼は旅行は嫌いだと言っていたから、 行きたがらないだろう]
(共に [続]英誤診 p.141)

となるが、 前講の(2)を踏まえるとこれらの文の that 節の中の動詞は過去形でもよいことになる。 しかし、 これでは 「あの時点ではこう言ったが今ではどうか分からない」 と思っているようにも取られかねない。

それを避けるためであろう、 [続]英誤診 p.142 には

「that 節の中で現在形を使う場合には、 時制の一致の観点から、 次の例文のように、 主節の動詞を現在形にすることが多い」

◎He says he isn't coming to work today.
[彼は今日は仕事に出て来ないと言った]

とある。

いつも

I think he is an excellent scholar.

I thought he was an excellent scholar.

になるという「ドブねずみ頭」に固められてしまうととんでもないことになる。 げんなりだ。


(3) 中抜け現象:現在形と過去完了形の混在。

以前の講に 「英語では過去のことには過去形を使う」 と記したが、 以上のことを踏まえると、 即ち伝達者の心理をたどると現在形と過去完了形が混在する文章が存在し得ることが理解できる。

◎She looks younger than I had expected.
[彼女は思っていたより若く見える] ([続]英誤診 p.124)

以前ある予測を抱いておいて彼女に会ってみた。 すると予測以上に若かった。 これだけを伝えるには

She looked younger than I had expected.

となるが 「今でもやはり若く見える」 と思っていることを言い表しているのが上記引用文の中の looks だ。

◎This book is every bit as good as I'd expected.
[この本はあらゆる点であらかじめ期待していた通りの出来だ]
     (同 p.124)

これも同じことだ。 「心理」 を見ることをしない 「型文法」 ではこういったことは習うこともない上、 理解に至ることすら不可能だ。 「笛吹き英語」 は怖い。


(4) 主節の中の時制の一致

時制の一致は that 以下の従属節に見られるのが普通だが、 PEU p.589 には主節の中の時制の一致の例があがっている。 事は今でもそうなのだが、 これに過去形を使っている所に 「心理」 を見る必要がある。
'Do you remember that Danish family we met in Majorca last
summer? Weren't they nice?'-‘You mean Kirsten and Ole?
They weren't Danish-they were Norwegian.'
(「この前の夏マジョルカ島で会ったあのデンマーク人の家族のことを覚えているかしら。 とてもいい人たちだったわね」 「キルステンとオールのことかい。 あの人たちはデンマーク人じゃなかったよ。 ノルウェー人だったのよ」)

これは 「ノルウェー人だったのよ」 というあの時に合わす日本語の心理と同じ働きだ。

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プロフィール

snack7

Author:snack7
関西の大手私立大学独文卒。JALスチュワードからパーサーとなるも7年で退職。元の独文の修士課程に戻り終了後短大のドイツ語非常勤講師などを経て、予備校英語講師となる。現在は在宅年金生活。1938年1月1日生まれ。

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